不動産業者のチラシで『無料査定!』の文言をよく見かけますが、
・どうして無料なのか?
・有料とどう違うのか?
・何かウラがあるのか?
というテーマでお話したいと思います。
目次
1、無料査定と有料査定
2、マンションを売却すためにどちらの査定を採用するべきか?
3、一括無料査定サイトの利用について
4、まとめ
1、無料査定と有料査定
そもそも無料査定と有料査定をする側の目的やビジネスモデルが違いますのでその背景を理解すれば違いがはっきりわかります。
①無料査定
無料査定は、不動産業者が集客のために行う査定という名の営業活動です。『無料』としているのは査定を入り口として、媒介契約を交わし、成約報酬(仲介手数料)を目的としているからです。
査定を依頼する側からすると、無料でいいのかな?という気持ちになりそうですが、不動産会社は無料でも喜んで来てくれます。不動産の売却を考えている見込み客に対面できるのであれば、無料で当たり前という感覚です。
実際に一括査定サイトやポータルサイトに掲載料を支払って査定の募集をしていますので、完全な営業活動であり、査定に呼ぶともちろん『ぜひ当社で売ってください』という営業も付いてきます。
成約予想価格ですので、査定したらその時に大方の金額が出ます。
➁有料査定
有料査定をできるのは、不動産鑑定士という国家資格をとつ方々です。査定ではなく『不動産鑑定評価』といい、不動産会社の行う価格査定とは重みが違います。国家資格保有者が行った査定ということで、査定金額自体が大きな意味を持ちます。売買間でいうと、売主・買主どちらの味方でもない中立公正な価格です。
例えばこのようなケースに利用します。
・相続の財産評価
・財産分与
・公用地などの売却
・裁判で不動産価値が争点となっている場合の鑑定
税務署や裁判所に証拠として提出できる鑑定価格であり公信力があります。
不動産鑑定士は鑑定することが仕事ですので、鑑定したあとの事情とは無関係に報酬が発生します。
また、鑑定評価には約2~3週間の期間を要します。
2、マンションを売却すためにどちらの査定を採用するべきか?
単刀直入に言うと、不動産会社の無料査定で十分です。
売却する前提ですので、『このくらいの価格で成約になるでしょう』ということが分かれば、あとは査定金額よりも業者選びの方が大切になってきます。
※ただし、ここでの注意点ですが、不動産会社の査定の金額は業者によってかなり差が出る、ということです。
なぜか?
不動産会社は営業活動の一環として査定をしていますので、その先には専任媒介を結びたいという目的があります!そしてそのためには、売主様にとって有利な条件を提示する場合が多いからです。要するに他社よりも高い査定金額を出し、自社で売り出してもらう!作戦です。
正確な査定金額を出すと、他社に取られてしまうという不安からそうなるのですが、当査定した本人はその金額で売れるとは思っていない場合が多いのです。
本当に?
手口としては、専任媒介を結んだらそのあとは徐々に金額を下げる営業をしてきます。そして、結局は他社の査定金額と同じくらいまで下げてようやく売れるか売れないか・・・。この流れのすべてが営業手法としてワンセットになっています。 売主にとっては大きな機会損失、時間の無駄です。
それどころか機を逃してしまい、結局不動産買取業者への売却になったり、正当な業者の査定金額よりも低い成約価格になってしまうケースが多々あります。時間とお金の両方を失ってしまうことになります。利益を得たのは不動産会社だけ・・。
ですから査定を依頼する売主様もそれを見込んでおく必要があり、あまりに査定金額が高い場合は、価格の根拠をしっかり担当者に聞いてみてください。納得できるようなものであればいいのですが、根拠が不明確であったり、単純に今いるお客様の予算が高いからといった理由の場合は、その業者と媒介契約はしない方が良いです。
しかし、それでも無料査定をうまく使ってほしいのです。不動産会社の担当者を直接見極めるチャンスがあるのも不動産会社の無料査定ですし、価格の他にも売却時の費用や手続きに必要な書類や引越しのタイミングなどもアドバイスをしてくれるからです。
3、一括査定サイトの利用
不動産会社に一括で無料査定を依頼できるサイトがたくさんあり、利用される方も多いと思います。
一括査定サイトですが、仕組みを理解して使えば便利です。
まず、一括査定サイトの運営会社はネット集客が非常にうまく不動産査定の入り口として多くの査定依頼を集めています。その顧客情報を不動産会社に売る、というビジネスモデルです。
登録している不動産会社からフィーをもらい収益化しています。よくサイトに『厳選した優良企業に一括見積』『売却が得意な企業に一括見積』などと謳っていますが、料金を支払えばほとんどの不動産業者が加入できます。現に当社にも一括査定サイトの運営者から営業の電話がかかってきます。
ここで言いたいのは、普通の不動産会社が加入しており、査定の入り口が査定サイトになっているだけのことということです。
そして、サイトを通じて査定依頼し、簡易査定で提示される査定金額は、先ほども書きました通り、それぞれの業者の思惑が反映されている金額です。ですから、皆さんは一括査定を利用する際も先ほどの注意点の頭に入れておいて業者とやり取りをしてください。
通常の問い合わせも一括査定も同じなのです。便利なのは、数社に一括で依頼できる点です。
査定依頼する際には、住所・氏名・電話番号・メールアドレス・物件の内容を入力することになります。そして簡易査定の結果が不動産会社から送られる・・・。
と思ったら、すぐに電話がかかってきます。それも数社から短時間の間にかかってくる場合が多いです。メールの場合もありますが・・。
そしてまずは訪問査定に行かせくください!の流れが多いです。
または、不動産会社からの簡易査定を返信してもらいお客様が指定した業者にのみ、連絡先を教えるというパターンもあります。その簡易査定も先ほどの事情と同じであまりあてになりませんので、高すぎる金額・安すぎる金額を提示する業者を排除して検討すると良いかと思います。
そして、結局は1社に絞るために、対面での訪問査定ということになります。入り口は一括査定でもチラシの問い合わせでも同じです。査定金額の根拠を示すことができ、営業担当の人柄を見極めて決めてくださいね。
4、まとめ
ということで、目的が売却の場合は、不動産会社の無料査定の方が適しています。 有料査定の鑑定評価は、相続税の評価や裁判・大企業間での不動産売買や資産評価の場合に有効です。
用途によって使い分けてください。
無料査定の際には、不動産会社の営業が付いてくることも忘れないでくださいね。